県境稜線 Y 黒河峠~乗鞍岳

 乗鞍岳は、国境スキー場から登った所にあり、山頂近くには無線中継所が建っている。

 黒河峠から乗鞍岳への区間は、前半は、送電線鉄塔が多く立ち並び、その巡視用の道が整備されているので、この道を利用する。後半は、古道のような道があり、この道を使うことにより、簡単に、乗鞍岳山頂近くの無線中継所に辿り着くことが出来る。前半は、鉄塔や小屋などの人工物があり、興ざめの感はあるものの、美しい林が広がり、目を楽しませてくれる。また、後半は、古道と交差しながら、緩やかな道が続いており、周囲の林を楽しみながら歩くことが出来る。


コース紹介

 黒河(マキノ)林道を、マキノ側(敦賀側は、途中で通行止め)から入り、峠の少しマキノ側にある赤坂山登山口の駐車場に車を置く。なお、林道の状態が悪ければ、途中から歩くことになる。ここには、トイレも整備されており、周囲も含めれば、10台程度の車を置くことが出来る。

 ここから、敦賀側に30mほど行った右側に、登り口がある。ここには、「敦賀試験線 50分」の看板がある。確かに、この先50分ほどの所に、送電線の試験を行っていたと思われる、試験用の送電線や、作業用の小屋が建っている。

 登山口からは、急勾配のしっかりとした道が、ブナと熊笹の間を登っていく。登り始めて、5分強で、左手に最初の鉄塔が現れ、周囲にはブナ林が広がっている。この先道は、主に尾根の左側を巻くように進み、登山口から30分程で、稜線に戻る。県境は、ここを左に折れて進むことになるが、右手に細い道がついているので、その道に沿って、P651.7mの三角点を往復してきても良い。ピークには三角点があるだけで、展望も何もないが、往復10分もかからないので、県境を歩く意味で、試しに行ってくるのも良い。

 この分岐を左にとると、尾根は北に向かい、すぐに鉄塔の下を通る。この辺りは、高い木がなく、平らな尾根道となる。さらに1基の鉄塔を過ぎると、また、古い鉄塔が2基現れるが、この鉄塔には、電線が、片側にしか張られておらず、試験のために使われたようである。(これらの送電線は、地図には出ていない。)傍には、作業用の小屋も建っている。

 この先は、尾根は右に曲がる(東向き)が、ブナに混じり、杉やヒノキの植林もあり、また、道沿いにケーブルも通っている。プラスチックの階段の急坂となり、途中、右手に巡視路を分ける。しばらくで、また、小屋のある地点に着くが、ここにも2基の鉄塔があり、右の鉄塔のみ現在使用されている。ここを過ぎると、ブナや潅木の自然林となる。

 さらに進むと、小ピークがあり、鉄塔が建っている。ここは、2本ある送電線の左側の線下になる。ここからは、敦賀、マキノ方面の眺めが良い。ここからは、一旦下り、正面の鉄塔を目指して、登る。プラスチックの階段を登っていくと、左手に雪圧防止用のフェンスがあり、すぐに小ピークに着く。

 ここには鉄塔2基が建っているが、左側は試験用のものである。また、小屋も建っているが、この辺りは、ススキ、熊笹で、見晴らしが良い。

 この先、右に、左に巡視路が分岐するが、そのまま直進すると、再び、小ピークに着く。潅木に覆われたなだらかな尾根が続き、右手の鉄塔の横を通る。この辺りは、カエデの木が多く、気持ちの良い道である。

 さらに進むと、ちょっとわかりにくいかもしれないが、右手に入る道がある。乗鞍岳へは、ここを右に入っていくが、注意してみると、テープがたくさん付けられている。なお、ここを直進すると、50mほど先に、鉄塔があり、そこからは乗鞍岳が正面に見え、敦賀方面の見晴らしも良い。

 分岐に戻り、右手に入り、プラスチックの階段を下っていく。この辺りから杉林に入り、ちょっと鬱陶しくなる。しばらくで、また鉄塔があるが、ここは右側の送電線の線下である。ここから右手方向に下っていくが、これまでの整備された巡視路と別れ、道は少し悪くなる。すると、突然深く掘れた古道が現れ、現在の道は、この古道と交差したり、平行したりして進んでいる。しばらくすると、右手に台地状の地形の地点に出て、平坦な道となる。周囲の木は、雪に押しつぶされて、皆横に寝ている。この辺りは、左右から木が被さっており、少し歩きにくい。

 さらに進み、鞍部まで来ると、再びブナ林となり、道は一旦稜線の右側を巻いた後、今度は、幅広い尾根の左側を大きく巻くように進む。やがて、道はゆっくり登りだし、稜線に戻る。ここから稜線上をゆっくりと下っていくと、突然広場に出る。ここは、正面に見える無線中継所の保守用の林道の終点で、ヘリポートとして使えそうな広場が作られている。

 ここから林道を伝って2基ある無線中継所に登り、そこから左手の道を伝ってさらに上部の無線中継所に登る。途中、2箇所、階段が作られている。上部の無線中継所は、見晴らしが大変良く、野坂山、赤坂山などの山々と、琵琶湖方面が見渡せる。

 ここからは道が細くなり、両側から木が被さるようになる。急坂を一旦下り、登り直すと、乗鞍岳山頂に着く。山頂には、コンクリートの塊のような建物があり、山頂の雰囲気を壊している。また、展望もなく、あまり気持ちの良い山頂ではない。三角点とその脇の標識で記念写真を撮ったら、すぐ下山しよう。

コースタイム

 黒河峠→(30分)→P651.7への分岐(三角点往復10分)→(1時間)→右に入る分岐→(40分)→林道→(20分)→乗鞍岳山頂

(注)逆コースも、トータルの時間は、さほど変わらないと思われる。

地  図