県境稜線 J 棚野坂~西畑越~知井坂

   西畑越は、棚野坂の途中の六地蔵から分岐し、京都府美山町の知三・西畑に抜ける峠である。昔の往来はかなり多かったようで、今なお、しっかりとした道が、少なくとも京都側への下降点である、オバタケダン(729m)まで、残っている。

 知井坂は、福井県おおい町名田庄堂本から京都府美山町の知見へ抜ける峠道で、現在は両側とも八ヶ峰への登山道として使われており、よく整備されている。

 西畑越のオバタケダンから知井坂までは、概ね踏み跡程度の道があり、道のはっきりしない所も、藪漕ぎするほどのことはない。ただし、間違って迷い込みそうな尾根もいくつかあるので、地図を確認しながら慎重に進む必要がある。また、この区間、稜線上は自然林で、植林を見ることは、ほとんどない。

 オバタケダン~P706までは、概ね道も良く、周囲の林も美しい。P706から東側も、以前あった枯れた熊笹や、潅木がなくなり、歩き易くなっている。また、周囲の林も、自然林で、樹齢の若い木が多いが、林の美しさを眺めながら歩くことが出来る。


コース紹介

 棚野坂の標識から県境稜線を北東方向に登って行く。この先に関電の無線中継所があり、その作業用の太い道が続いている。すぐに無線中継所の建物に着き、右手に回り込んで、県境稜線を下っていく。下った所で、左から道が合流するが、これが六地蔵から続く、西畑越の道である。この辺りには、ブナが点在している。

 ここから県境稜線を東方向に進む。尾根はなだらかで、尾根の左側に幅の広い古道が続き、周りには美しい林が広がる。689mのピーク手前で、古道は左手に巻いて行く。この古道は、次の山九〇の境界標のあるピークの先まで巻き道として続いている。

 県境稜線に沿って、689mのピークを越える。この先、左手が杉の植林となっているが、植林が終わったあたりで、山九〇の境界標のあるピークに着く。ここで県境稜線は、左に90度折れ、下っていく。下ったあたりで、先ほどの巻き道と合流する。

 この先もなだらかな尾根を進むが、途中に、かなり下から枝分かれした、立派なブナの巨木がある。鞍部からは、オバタケダンに向かって急な斜面が待っている。古道は、ここから右手を巻いて行くようである。そのまま、急斜面を2段に亘って登っていくと、県境稜線からオバタケダンへ分岐する地点に着く。ここには、標識を設置している。なお、オバタケダン手前は以前には熊笹が繁茂していたが、鹿の食害か、現在は熊笹はすっかり消えている

 県境稜線は、この分岐から左手方向に下って行くが、この分岐の右手の小高い所が、オバタケダンで、三角点がある。ここからは、京都側の見晴らしはとても良い。オバタケダン山頂から東に向かって、タケガダンを経て、西畑に下っていく踏み跡が続いている。(タケナガンから先の道は、未踏査)

 オバタケダンから少し戻り、分岐を北側(棚野坂方面から来た場合は、左折)へ下っていく。このあたりは、両側ともきれいな林が広がっている。急な坂を下り、次の小ピーク(670m)では、右に回りこんで行く。ここは地形が複雑なので、一番注意を要する地点である。特に、逆コースの場合、P597へ続く尾根に迷い込まない様に注意が必要である。このピークを越えると、左手に送電線鉄塔が見える。尾根は右へ、左へと曲がり、2つのピークを越えて、さらに登ると、送電線鉄塔の建つピークに着く。ここまで、オバタケダンから約1時間である。

 鉄塔ピークからは、右折して下っていく。直進するのは送電線巡視路なので、注意が必要である。右折した方向も、送電線巡視路として使われており、道は大変良い。しばらくこの良い道を進むが、P706付近で、右へ送電線巡視路を分ける。この分岐の先からも、以前あった熊笹と灌木がなくなり、歩き易い。さらに進み、P720を過ぎ、いくつかの小ピークを越えて進むと、P721に着く。鉄塔のピークから、P721までは、約1時間の道のりである。

 P721を下り、小ピークを越えて、行くと広場のようなところに出て、さらに急坂を登っていくと尾根に突き当たる。ここは、地図上で北向きから東向きに90度折れ曲がる地点であり、右に曲がる。なお、逆コースで来た場合、直進してしまうので、ここも注意を要する地点である。ここからは、なだらかな下り、登りが続き、左手には、林道が見える。やがて、P745に続く尾根を分岐するが、この尾根にも明瞭な踏み跡があり、この尾根にも誘い込まれないように注意が必要である。

 ここからは、細くなだらかな尾根が続く。やがて、P772に着くが、そこを下り始めると、森の様子が変り、太いブナなどのきれいな林となる。一旦下り、最後のピークを目指して登る。最後のピークでは右折するが、ここは、逆コースの場合、直進し、北に向かう尾根に入りやすいので、ここも注意が必要である。このピークから下りだすと、左手の下に、林道のような太い道が並走するようになる。やがて、稜線とこの道が合流する。なお、太い道から稜線への入口には、小さな標識やテープの目印がある。この道に合流すれば、すぐに八原に下る道を右に分岐し、さらに進むと、知井坂の看板のある地点に着く。P721から知井坂までは、1時間50分程の道のりである。(最終踏査 2023.07.15) 

コースタイム

 棚野坂→(5分)→西畑越の道合流→(20分)→山九〇の境界標のあるピーク→(20分)→オバタケダン→(1時間)→送電線鉄塔のあるピーク→(1時間)→P721→(1時間50分)→知井坂
(注)逆コースも、ほぼ同じ時間で歩ける。 

地  図