若狭の山と峠 34 乗鞍岳

 乗鞍岳は敦賀市の南、福井県と滋賀県の県境に位置する。この県境(山中峠)には、古くからある国境スキー場(国道を挟んで反対側には、敦賀国際スキー場)があり、ここが登山口になっている。登山道は、この山の山腹を横切って送電線が通っており、その送電線巡視路を利用している。また、山頂より少し南に下った地点には電波塔があり、この作業用の道が、藁葺き屋根の里で、在原業平の墓のある滋賀県マキノ町在原集落より上がって来ている。
 山頂付近からは、琵琶湖が正面に眺められ、途中の尾根道にはブナ林などもあり、気持ちの良いコースであるが、山頂に無線中継基地局用のコンクリートの建物が建っているのが残念である。 また、登山口の辺りが採石場として開発され、登り口が分かり難いのと、紹介するコースから他の送電線巡視路が何本か枝分かれしているので、注意が必要である。
 以下コース紹介は、山中峠からのコースを紹介する。


コース紹介

①山中峠から乗鞍岳へ    ■対象:中級コース
  敦賀市から国道8号線を南へ下り、疋田交差点で右折し、国道161号線へ入る。山間の道を高度を稼いでいくと山中峠に着く。登山口は、右手にあるロッジ山中峠付近であり、車は、向かいの敦賀国際スキー場の建物の前に止めさせてもらう。
 国道を横切り、ロッジ山中峠の前を通り採石場の方へ進む。採石場の左端と尾根の境を見ると谷筋のようになっており、ここを登ることとする。上部には第一鉄塔が建っており、これが目印である。カヤをかき分け、小さな小川を飛び越え、谷筋を登る。ガレ場が終わると、急な斜面を右方向に登って行く。滑りやすいので注意が必要である。登り始めて10分程で右手から立派な登山道が上って来るのに合流する。この道は、採石場の中から登って来るようであり、うまく登り口が見付けられればこのルートの方が良いが、採石場の開発状態により変化するおそれもあるので、ここに書いたルートを推奨する。なお、下山の際は、この細い道に入る所が分かり難いので、登る際に十分注意しておく必要がある。
 合流してすぐに左手に第一鉄塔の小さい方の鉄塔がある。ここからスキー場方面に道が続いているが、まだ行き先を確認していない。小さい鉄塔から少し登った所に、大きな鉄塔があり、その手前に右手の方に行く送電線巡視路があるが、これは無視する。
 第一鉄塔からは、立派な道が続いている。道は灌木に覆われ視界はきかないが、気持ちの良い林の中、高度を稼いでいく。途中採石場上部の境付近に道が付けられており、境に近づかぬよう気を付けてほしい。第一鉄塔から30分程で第二鉄塔に着く。下の方にはスキー場が、そして琵琶湖方面が眺められる。
 第二鉄塔を過ぎると、すぐ右手にきれいなブナ林があり、道は深くえぐられていて、峠道のような雰囲気となる。小さな岩が出てくると、その辺りから琵琶湖に浮かぶ竹生島がきれいに見える。道は少し右に巻き、そして元の尾根に戻るが、その辺りの下はガレ場となっている。下山時は、すぐに分かるが、登りの時は気が付かずに通り過ぎるかもしれない。道は今度は左を巻くように進み、左手に送電線巡視路を分ける。この辺りもブナのきれいな林となっており、その上部にはモミジのきれいな場所もある。やがて道は右方向の尾根に戻るが、そこで右方向から登ってくる巡視路と合流する。さらに少し登ると、道はT字路となっており、右は第三鉄塔へと続いている。登山道は、左である。この地点と先ほどの合流点は、下山の時に間違いやすいので十分注意が必要である。
 T字路から左に進むとすぐに789mのピークであるが、ここは知らず知らずの内に通過してしまう。第二鉄塔から789mピークまでは約40分の道のりである。
 この先、しばらくの間下草が繁り、熊笹が出てくる。道は少し下り、鞍部に着くと正面に第四鉄塔があり、右手に巡視路が延びている。そのまま鉄塔を目指して進むが、鉄塔の横を通過する頃から道は急登になる。急坂が終わるとなだらかな尾根上の小さなこぶをいくつか越えながら進む。その後一旦下り、すぐに登り出すが、そこでも右手に巡視路が延びている。
 この地点からすぐ先の左手の所に、赤いテープが付けられている。はっきりした道は直進しているが、この赤いテープの所を注意して見ると、別の道が左手に入って行くのが分かる。この道が乗鞍岳へ続く道で、入り口の所が少し分かり難いが、その後はしっかりとした道が続いている。急な登りを終え、尾根上のこぶをいくつか越えると山頂に着く。
 山頂には三角点と乗鞍岳の標識があるが、その一段下にはコンクリートの建物があって、残念ながら山頂の雰囲気を壊している。それでも南方面には琵琶湖が大きく広がり、東には湖東、岐阜の山々が、西には赤坂山のガレ場がよく見える。木々やコンクリートの建物が邪魔をするがまあまあの展望である。山頂からはアンテナの建つ方向に道が続いている。
■コースタイム
 山中峠→20分(15分)→第一鉄塔→30分(20分)→第二鉄塔→40分(25分)→789mピーク→15分(10分)→第四鉄塔→30分(20分)→山頂
 (注)カッコ内は、逆コースのコースタイム

地図