若狭の山と峠 29 庄部谷山

 美浜町新庄の浅ヶ瀬手前から、前半は、送電線巡視路を使い、後半は、尾根筋を辿って、山頂に向かうコースを紹介する。送電線巡視路の部分では、急な所や、沢を横断する所の崩れた斜面などがあり、一部注意を要する。【右へトラバースし、沢を渡るルートは、現在、あまり使われていない(そのまま、直登する人が多い)との情報があります。(2021.11.12追記)】その後の尾根筋は、所々藪っぽい所もあるが、比較的歩きやすい。ブナ林などもあり、きれいな林を楽しむことも出来る。山頂は、ブナに覆われた静かな所である。

 また、粟柄林道の途中から登り、上記の道に合流するコースもあるので、あわせて紹介する。こちらは、取付きが急であるが、その後は歩き易い尾根道になるので、浅ヶ瀬からの道よりも歩きやすいかもしれない。(2020.10.18コース案内追加) 

 なお、庄部谷山から野坂岳南方稜線の間も、比較的歩きやすい尾根であり、その区間のコースも紹介する。【ただ、現在、P750辺りから、庄部谷山方面と、野坂岳南尾根分岐方面に向かって、林道工事が進んでいるので、この区間の大半が林道になるかもしれません。(2021.11.12追記)】野坂岳の項に野坂岳南方稜線のコース紹介があるので、それらを参考にすれば、新庄から山集落へ1日で縦走できる。


コース紹介

美浜町新庄(浅ヶ瀬)からの庄部谷山往復       ■対象:上級コース 

 美浜町の嶺南変電所を過ぎ、さらに渓流の里方面に進むと、左手にどんぐり倶楽部の建物がある。そこからさらに200m程先の左手に、送電線巡視路の入り口がある。ここが今回の登り口であるが、何の標識もないのでわかり難い。斜めに登っていくと、すぐに「火の用心」の標識があり、巡視路であることに納得する。(関西電力は、送電線巡視路の標識に「火の用心」の表示を利用している。)すぐに古びた作業道を横断し、杉林の中の小さな谷間に付けられた急な巡視路をまっすぐ登る。巡視路には、プラスチックで出来た階段が付けられており、わかりやすい。登山口から20分程で、左手に別の送電線巡視路を分けるが、ここは右手に行く。ここからすぐに杉林を抜け、明るくなると、右手の支尾根の上に立つ。尾根の左手をトラバースするように進み、再び植林に突入すると、すぐに最初の送電線鉄塔(鉄塔①;鉄塔番号は、説明のために仮に付けたもので、実際の送電線番号とは関係ない。)に着く。 

 ここで植林は終わり、道はトラバースしながら左手の尾根にある鉄塔に向かう。尾根に上がると、下から上がってきた別の巡視路と合流する。その先すぐに鉄塔②に着く。ここからは道はゆったりとした尾根の上を行く。先の鉄塔②から10分程、登山口から1時間程で、道は尾根から別れ、右にトラバースしていく。【右へトラバースせず、そのまま尾根を登るルートが、多く歩かれているとの情報をもらっています。(2021.11.12追記)やがて最初の沢を渡るが、ここには立派な鉄製の橋((注)2013.11.24現在、この橋は壊れていた)が架けられている。さらに進むと、次の沢を横断するが、ここにはフィックスロープが付けられており、それを頼りに慎重に沢に降りる。そこからしばらくで、尾根に出る。尾根に出た所のすぐ下に鉄塔③がある。この地点は、下ってきた時に直進して鉄塔③に向かいやすいので注意が必要である。 

 ここからは、プラスチック杭に導かれ、急な斜面をジグザグに登っていく。とにかく急な斜面なので、特に下りは要注意である。条件の悪い時や、初心者がいる場合は、補助ロープを持参した方が良さそうである。急な登りを約15分程で、鉄塔④に着く。ここは見晴らしがとても良い。ここからすぐに鉄塔⑤を通過し、最後の鉄塔⑥に向かう。鉄塔④から10分程で鉄塔⑥に着く。 

 ここからは巡視路と別れ、潅木に覆われた緩やかな尾根を行く。尾根幅が広く、稜線を外し易いので、地図と磁石でしっかりと進む方向を確認しよう。ゆっくりと、登り下りを繰り返しながら、進む。樹相も潅木からブナ林へと変わる。この先、杉が混じったり、潅木が再び現れ、藪っぽくなったりするが、さほど気にせず進むことが出来る。ブナも細いものから、立派なものなど様々である。やがて、P804に着く。ここまで最後の鉄塔から約1時間である。 

 ここからは北へ少し下り、鞍部から右に回り込むように登っていくと、一つ手前のピークに着く。そこから一旦下り、登り直すと、20分程で、庄部谷山山頂に着く。山頂はブナに覆われ、見晴らしは良くないが、静かで気持ちの良い所である。山頂には標識が付けられている。

(最終踏査:2013.11.24/鉄塔⑥より上部は、2020.10.15)

■コースタイム
登山口→1時間分→トラバース開始地点→1時間→最後の鉄塔→50分→P804→20分→庄部谷山
(帰りは、約2時間30分)

②粟柄林道途中からの庄部谷山往復       ■対象:上級コース 

 浅ヶ瀬集落よりさらに車を進め、松屋集落より、粟柄林道に入る。最初の橋を渡る手前が登山口となるので、橋の先か、次の林道入口付近に駐車すると良い。ここは、粟柄の関跡である。橋の手前から少し沢沿いに入り、左手の斜面に取り付く。斜面は急なので、スリップしないように注意が必要である。特に、下山時は、細心の注意を払う必要がある。30分ほど頑張ると、P384に着く。ここからは尾根はなだらかとなり、5分で、このコース最初の鉄塔Ⅰに着く。

 なお、この鉄塔には、右手から巡視路が登ってきている。この道は、橋の先の林道を15分ほど上がった所から、登ってきている。登り口の林道脇には、2、3台車を止めるスペースもある。林道から左手の沢に下り、渡渉した後、急斜面を20分ほど登ると鉄塔に着く。渡渉地点に架かっていた橋は、壊れており、巡視路の一部も崩れているので、注意して歩く必要がある。

 鉄塔Ⅰからは、巡視路があり、プラスチックの階段が付けられている。周りの林は、常緑樹から広葉樹へと変わっていく。岩の点在する場所や、広場のような場所を通り、少し左に回り込むと、次の鉄塔Ⅱに着く。鉄塔Ⅰから20分程である。ここから道は左手にトラバースしていき、次の尾根を登る。ここで、巡視路は終わる。下ってきた場合は、直進しやすいので、注意が必要である。

 細尾根を過ぎ、ススキの中に入る。直進は急なので、少し左に回り込んで登っていくと、三角点583.1に着く。ここから一旦下り、登り出すが、灌木の尾根に、ブナなどの大木が交じり出す。P677の手前は、ブナ林の中の広い尾根となっており、進む方向に注意が必要である。綺麗な尾根道を進むと、P677に着く。この先すぐに、鉄塔Ⅲと鉄塔⑥が続いて現れる。鉄塔⑥で、①のコースと合流するので、①のコース案内に従って、山頂を目指して欲しい。(最終踏査:2020.10.15)

■コースタイム

登山口→30分→P384→5分→鉄塔Ⅰ→35分→三角点583.1→30分→P677、鉄塔Ⅲ、鉄塔⑥→50分→P804→20分→庄部谷山

(帰りは、約2時間30分)

③庄部谷山から野坂岳南方稜線    ■上級

  (注)現在、林道工事が進んでおり、今後、大半が林道歩きになるかもしれません。(2021.11.12追記)   

 庄部谷山からは、南東方向に下っていく。杉の混じる尾根で、潅木が邪魔をし、少し歩きにくい。再び登り出すと、ブナの林に変わる。右から尾根が合流し、しばらくで、最初のピーク(P860)に着く。山頂はだだっ広く、ここまで庄部谷山から20分である。

 ここからは左手に下っていくが、気持ちの良い尾根が続いている。次のピーク(P850)の登りになると、杉混じりの潅木帯となる。右から回り込むように登るのが正解のようであるが、我々は、細長いピークの左端(東側)に登りついた。最初のピークからここまで20分である。

 ここからは、大きく左に曲がり、広い尾根を下っていく。ブナ林が広がり、とても綺麗なところである。やがて、尾根は細くなり、少し歩きにくくなるが、登りにかかると、再び気持ち良い尾根となる。ブナの大木が現れると、すぐに3番目のピーク(P840)に着く。ここも細長いピークで、2番目のピークから25分である。

 このピークを過ぎた辺りは、感動のブナ林が広がる。やがて、下りにかかると潅木が混じり、少し歩きにくくなる。また、左に寄りやすくなるので、右に回りこむように進む。再び、登りにかかると、ブナ林が広がり、やがて、野坂岳南方尾根に着く。3番目のピークからここまで、20分である。この辺りは、広々とした尾根である。

 このコースは、全体的に尾根の広い所が多く、見晴らしの利く時はさほど問題ないが、視界が十分でない時は、地図と磁石をにらめっこしながら、慎重に進む必要がある。

 なお、ここからは、山集落に下山することになるが、野坂岳の紹介ページを参考にしてほしい。(最終調査:2021.11.11)

■コースタイム

庄部谷山→20分→P860→20分→P850→25分→P840→20分→野坂岳南方尾根

地図