若狭の山と峠 01 青葉山

日本では、その地方を代表する山容秀麗な山に、富士と名を付け、登山や芸術の対象としていることが多い。青葉山もその一つで、若狭富士の名で親しまれている。また、高浜町と京都府舞鶴市との境界に位置するこの山は、「京都の自然二百選」にも選ばれている。山容は、今から四百万年程前の火山爆発によってできた典型的なコニーデ式火山あり、白山火山帯に属する死火山でもある。

 長い円錐形の裾野の南東の山麓には、馬頭観音を祀る中山寺があり、また、南西側の中腹には、西国三十三ヶ所霊場の二十九番札所の松尾寺があるが、いずれも本書で紹介する登山コースに関わりがあるので、時間に余裕を持ち、一度は訪れることをお奨めする。

 この山への登山道はいくつもあるが、ここでは、若狭の山の魅力の一つである、山から見る海の風景が最短で手に入る松尾寺からのコースと、時間に余裕があり、この山を丸ごと満喫したい人のために、中山寺から松尾寺への縦走コースを紹介する。

 なお、このほか今寺からのコース、高野からのコースがある。今寺のコースは、②中山寺から松尾寺への縦走の中で少し触れている。また、高野のコースは、集落から少し中山寺側に進んだ所に大きな看板があり、そこから入山する。20分程で、中山寺からのコースに合流する。


コース紹介

①松尾寺から青葉山へ       ■対象:家族向けハイキングコース

 小浜方面からは国道27号線を舞鶴に向かい、県境の吉坂トンネルを200メートルほど過ぎた所の「松尾寺」の道路標識を目印に右折することになるが、切り返しが必要になるため、少し先の自販機の所でUターンしてから、左折で入る方が安全である。また、舞鶴方面からも、「松尾寺」の目立つ看板があるので、まず間違える心配はない。しかし、国道から寺までの道は狭く、途中からはカーブが多くなるので十分な注意が必要である。なお、現在、福井県側からのアプローチが整備されており、、高野、今寺を経由して行った方が行きやすい。

 松尾寺の駐車場はいくつかあるが、お彼岸を除けば一番奥の駐車場(どこも有料)まで乗り入れが可能である。登山口は、本堂右手の渡り廊下をくぐった所の、『京都の自然200選』の石柱のある石段の所なので、身支度の後はお参りを済ませて向かうと良い。

 墓地を左手に見ながら竹やぶの中を進み、左に少し歩いて舗装道を横断すると、青葉登山道と書かれた小さな道標がある。そこからは、なだらかだが少し湿った道を20分程進み、壊れた鳥居を通過すると、杉の植林地帯にさしかかる。ここが本格的な登り道のスタートである。後はとにかく登るだけなので、自分の体力に合わせたペース配分と木の根っこなどの滑りにだけ気を配ればよい。

 およそ30分で、ロープと併用の梯子がある大きな石の所に辿り着き、それから第2、第3の梯子を経由し、大きな石の所から40分もあれば西峰(西権現)に到着する。

 息が整ったら、社の後ろにある大きな岩の上に是非登ってほしい。ここからの、複雑な内浦の海岸線と若狭湾が織りなす眺めは見事であり、息を弾ませ登って来たことを決して後悔させない。

 帰りは元来た道を引き返すことになるが、急な所が多いため、特に転倒には細心の注意が必要である。(最終踏査2016.4.29)

■ コースタイム
  松尾寺→20分(15分)→鳥居→30分(20分)→梯子→40分(25分)→西峰(西権現)
    ( )内は、逆コースの時間

 

②中山寺から松尾寺への縦走   ■対象:初級コース
 以前の青葉山縦走は、「馬の背」、「クサリ場」、「大岩越え」など若狭の山では珍しく、ちょっぴりスリルが味わえたものである。しかし、この数年で、急登には階段、そしてクサリ場や岩場には立派な梯子が整備され、気軽に縦走可能な山に変身している。これは、中高年の登山者や子供達には朗報であるが、油断だけは禁物である。

 小浜からは舞鶴方面へ、舞鶴からは小浜方面へ、どちらも国道27号線を走っていると「高浜原電」の道路標識が目に入るので、これに従い日置の信号交差点を曲がる。車を少し走らせ「青葉山青少年旅行村」の道路標識がある所を左折し直進する。さらに中山寺を左手に見ながら道なりに進むと、左手に青葉山健康長寿の里・ハーバルビレッジが整備されている。ここには、駐車スペースの他、トイレ等もあるので、ここに駐車すると良い。先ほどの道を少し進むと、青葉山登山の大きな看板が設置されている。ここが中山寺からの登山口である。。

 登山道は、環境庁の「近畿自然歩道」に指定されているだけあって、しっかりしており、また一本道のため迷う心配はない。登山口からしばらくは、畑地と竹林を進むが、10分も経たない内に階段にさしかかり、ジグザグの登りで小さな支尾根に取り付く。支尾根に登り着くと道は緩やかになり、青葉山の南側の中腹をトラバースするように進むと、登山口から30分ほどで高野登山道と合流する。ここから少しきつい登りが始まるので、最初の一本を立てるにはちょうど適当な所である。

 休憩後、何度かのジグザグを繰り返しながら尾根を目指して登って行くと、目の前が少し開け、NHKの鉄塔の所に出る。さらに進むと、高野との合流地点から40分程で三松や難波江の浜が良く見える展望台に到着する。このすぐ先には、金毘羅神社の社のある広場もあるので、どちらかで休息をとることにしよう。

 ゆっくり休んだ後、さらに進むと約20分で大きな岩の馬の背、さらにきつい登りを15分程で、青葉神社のある東峰に着く。

 ここで一息ついた後は、神社の後ろを通り西峰に向かおう。道はすぐに昔の難所の岩場、続いてクサリ場にさしかかる。以前は、この難所のために、少しの冒険心と勇気のある人だけが西峰まで足を延ばしたものであるが、立派な梯子のお陰で今では簡単に縦走できるようになっている。中高年の登山者が多いことを考えると、ありがたいことではあるが、子供のようにはしゃぐ大人の姿を知る者にとっては、一抹の寂しさも感じられる。ここから、大師修研の地を経由し西峰(西権現)までは、約20分の行程である。

 なお、山頂から松尾寺までの下りは、前項を参照願いたい。

 また、松尾寺から中山寺登山口へ戻りたい場合は、山門手前を左に進むと良い。山裾の舗装道を進み、今寺までは約20分、そして畑と植林の中を通り高野へ、さらに山裾に新設された道路を使い登山口には、およそ1時間で到着することができる。

 さらに、山頂から松尾寺側へ少し向かった所の、今寺道の標識から今寺へ下ることもできる。20分ほど植林の中のジグザグを繰り返し下りると、本来の登山道と林道への分岐に到着する。登山道は時間の短縮にはなるが、条件が悪いため林道をお奨めする。分岐を直進すると2~3分で林道の終点に出る、後は約30分の林道歩きで今寺に到着する。今寺区では、毎年8月6日に山頂で夜祭を行っており、少しでも多くの人が参加できるようにとの願いも込めて、最近この林道ができたと聞いた。車が2台あれば、縦走の登山者にとっては、有効に使えるルートであることを付け加えておきたい。 (最終踏査2016.4.29)  

■コースタイム
 中山寺→30分(25分)→高野道合流地点→40分(30分)→展望台→20分(15分)→馬の背→15分(15分)→
 東峰(青葉神社)→5分(5分)→クサリ場→20分(20分)→西峰(西権現) 

      ( )内は、逆コースの時間

地図

ガイドマップ(高浜町観光協会編)