若狭の山と峠 14 天ヶ城山

 天ヶ城は、小浜市西津地区で一番高い天ヶ城山(266m)にある古い山城跡である。
 天応元年(781年)源義昌が阿奈志山王を祀り、古くは阿奈志山と称した。後に武田家の家臣内藤重正がここに築城し、「天ヶ城」と呼び、以後80年間、親子三代で、西津、甲ヶ崎、阿納尻、羽賀、奈胡、次吉、熊野等を治めたが、天正年間(1580年代)に、丹羽長秀の攻撃を受け、落城したと言われている。
 若狭国誌に「登二絶峯一望レ北則越前列在レ目」と記された眺望の良い山も、最近は登る人も少ない。しかしながら頂上からは、小浜の市街地、正対する久須夜ヶ岳の大きさや、若狭湾に浮かぶ沖の石や干島、御神島の遠望には目を見はるものがある。
 天ヶ城山へ登るには福谷地区、甲ヶ崎地区、若狭総合公園、羽賀地区からの4コースがあるので、それぞれのコースを紹介する。

 また、天ヶ城山から北東に延びる尾根には、過去に、近畿自然歩道として整備された道が残っているので、あわせて紹介する。


コース紹介

①福谷から天ヶ城山へ      ■対象:初級コース
 小浜駅より国道162号線を北に向かい、福谷バス停の十字路を右に行くと、カーブミラーがあり、そこを右折する。200mばかり進むとY字路になり、ガレージがある。その左側、石垣の上に「天ヶ城登山口」の立派な看板があり、足下には石柱もある。
 ここから左手の作業道(軽トラックが通れる程度)に入る。すぐに右手は杉林になる。広い道を進み、堰堤の約30m手前、右手の杉林の終わる所で、右手に丸太橋がある。ここから橋を渡って対岸に取り付く。道は細いが、しっかりした道が延びている。
 西津の街を背にして登山道は赤松まじりの雑木林の中をジグザグに付いている。約10分で松林の間より多田ヶ岳が見え始める。コースの所々に、ミツバツツジがあり、早春には紫の花がきれいである。約20分で見晴らしの良い場所に出て、小浜市街や小浜湾、遠くに青葉山も見える。さらに南の彼方には若丹国境の八ヶ峰が遠望される。
 登山道は緩やかに続き、左から甲ヶ崎よりの道と合流し、ロープのある急な階段を登りきると、三等三角点のある天ヶ城山山頂に出る。西から北東にかけて展望が開けており、丹後半島から始まり、正面には久須夜ヶ岳、眼下には古津湾、遠く敦賀半島や越前海岸が望まれる。昔、頂上には城台があったというが、今はその面影もなく、山頂はあくまで静かである。

■コースタイム
 福谷→10分(10分)→登山口40分(25分)天ヶ城山
  (  )内は逆コースのコースタイム

 

②甲ヶ崎から天ヶ城山へ   ■対象:中級コース
 前項の福谷より国道をさらに北に向かい、海岸線を甲ヶ崎にある内外海郵便局の所で右折する。突き当たりの三叉路を左折し、市道甲ヶ崎中央線を北に向かう。変則的な交差点を右手に進み、公民館を左に見て進む。右手に新しい円明寺があり、小さい橋を渡ると、「陶芸」の看板がある所に出るが、そこが登山口(入口)である。
 林道を少し進むと、獣害除けフェンスの扉があり、そこから30mも進むと登山口があり、ここには登山口の標識が付けられている。いよいよここから左手の山道に入る。さっそく急登で、5分も登ると、雑木の間から内外海小学校が見え、そこからは緩やかな尾根道となる。随所に赤テープや標識が付けられており、迷うことはない。良く踏まれた道を10分も歩くと、急登になる。上手に付けられたジグザグの道なので登りやすいが、倒木などが邪魔をして、うるさい所もある。
 途中、シシオトシの跡など昔の名残りも見られる。振り返るとエンゼルラインのある久須夜ヶ岳や小浜湾が広がる。やがて右手から通称南谷を介して支尾根が迫ってくる。
 やや右手にトラバースぎみに進むと、やがて先ほどの支尾根を越える。この辺りは少し尾根が複雑で、間違いやすいので、テープを見失わないように歩いてほしい。しばらくで、右手から福谷からの登山道と合流する。ここには「甲ヶ崎」と書かれた標識がある。ここからは小さな登り下りを繰り返すと、やがてロープの張られた最後の登りとなり、すぐに山頂に着く。(2018.06.17最終踏査、一部修正)

■コースタイム
 甲ヶ崎→10分(10分)→登山口→50分(40分)→天ヶ城山
  (  )内は逆コースのコースタイム


③若狭総合公園から天ヶ城山へ     ■対象:初級コース
 西津小学校から国道162号線を北に400m、若狭総合公園の案内標識に従って右折する。左手にある第一駐車場の突き当たりに見える階段が登山口である。
 取り付きから階段はいただけないが、こういう施設によくあるパターンである。しばらく我慢して登ると、道は二分する。右手は周遊コースで、施設を経て元へ戻る。登山道は左手に入る。少々木が生え込んでくるが、踏み跡はしっかりしている。
 やがて主尾根の三叉路に出る。左が頂上への道で、雑木林の中であまり見通しは良くないが、右下に国富平野の田園風景、左に小浜湾を木々の間から眺められる。赤いテープに導かれ、小さいピークを二つ、三つ越えると羽賀から登って来る道と合流して、ひと登りで山頂である。2019.03.24最終踏査

■コースタイム
 総合公園第一駐車場→30分(20分)→三叉路→20分(15分)→羽賀分岐→10分(5分)→天ヶ城山
 (  )内は逆コースのコースタイム

 

④羽賀から天ヶ城山へ     ■対象:初級コース

 羽賀集落には十一面観音で有名な羽賀寺があるが、この羽賀寺は真言宗高野山派で、霊亀2年(716年)に野代の妙楽寺と同じく行基の開創と伝えられている。たびたび火災に遭い、文安4年(1447年)に修築されたのが現在の本堂という。檜皮葺き、入母屋造りの本堂は、重要文化財になっている。

 寺の駐車場より杉並木の参道を通り、石段を登りきるとそこが本堂で、少し離れた右横に大きな登山口の標識があり、ここが天ヶ城山への取り付き点である。入口付近には、獣避けのフェンスがあるが、扉が設けられており、そこから入山できる。扉を抜けると、道は右にトラバースして行き、すぐに尾根筋に出る。

 登りだして二つ目の小さな朽ちかけたお堂の前を通り、赤松や杉、檜の混じる雑木林へ入ると急登が始まる。最近、急傾斜の区間には、木の階段が作られており、また、ロープが設置されたので、ずいぶんと登りやすくなった。それでも急斜面であることに変わりなく、大汗をかかされる。また、展望もないので、稜線までの約30分は、辛抱である。稜線に出て、左から若狭総合公園よりの道と合流し、5分ばかり登ると平坦になる。林の中を100m位行くと山頂に着く。(2019.03.24最終踏査)

■コースタイム
 羽賀寺→30分(20分)→分岐点→10分(5分)→天ヶ城山
  (  )内は逆コースのコースタイム

 

天ヶ城山から北東尾根     ■対象:中級コース

 天ヶ城山の北東稜線は、過去に近畿自然歩道として整備されたこともあり、とても良い道が残っている。ここでは、天ヶ城山から、阿納尻から田烏に続く林道への合流点までを紹介する。

 山頂から北東方向に下っていくが、しっかりとして道が付いている。下りきった辺りで少し道がわかり難いが、すぐに綺麗な尾根道となる。山頂から10分程で、小ピークに着くが、ここは天ヶ城トンネルの真上辺りである。ここから下っていくと、広々とした気持ちの良い場所に出る。ここから急な登りとなり、小ピークに着く。ここから左手に少し下って、登り返すと、P238に着く。山頂からここまで、約30分である。

 このピークからは、急な下りとなる。すぐに左手に尾根が分岐するが、右手へゆっくりと登っていく。さらに進むと、もう1本、左手に尾根を分岐する。ゆるく登り、下りしていくと、左下に、阿納の集落が見えるようになる。その辺りから、282.3mの三角点に向かって登りだす。ピークには、4等三角点の標柱がある。ここまで、P238から約40分である。

 三角点からは、左手へ下るが、最初は急斜面である。下りきると、左下に林道が見える。道は、前のピースを避け、尾根の右を巻くようになるが、この辺りはちょっとわかり難いので、注意が必要である。巻き終わると、林道へと出る。三角点から、10分程である。三角点からは、林道を阿納尻方面に進む。約50分で、阿納尻の林道入口に着く。なお、林道を反対側に少し進むと、羽賀の方に下る林道が分岐している。この林道を使えば、羽賀寺を拠点に周回コースとして歩くことが出来る。(2014.10.12踏査)

■コースタイム
 天ヶ城山→30分→P238→40分→282.3m三角点→10分→林道

  逆コースも概ね同じ時間で歩ける。 

地図(2018.06.17甲ヶ崎ルートの一部修正)