若狭の山と峠 13 久須夜ヶ岳

 小浜湾をカニのハサミのように囲むのが、大島半島と内外海半島で、その内外海半島の中央に位置する久須夜ヶ岳は、若狭湾から一気に619m隆起する秀峰である。山名は、南麓の堅海に鎮座する式内久須夜神社によるとあり、もとは山全体が御神体であったと言われる。
 久須夜ヶ岳の北側の山裾は打ち寄せる日本海の荒波に浸食され、約6㎞に渡り断崖、絶壁、奇岩、洞窟が続く名勝「蘇洞門(そとも)」で、多数の観光客が訪れている。
 昭和47年にエンゼルライン(以前は有料道路であったが,現在は無料。)が開通して、その山肌が大きく傷つけられてしまい、痛々しい限りである。また、頂上すぐそばまで車で登れるようになり、歩いて登る、いわゆる登山者はほとんど見られなくなった。展望台の駐車場から10分足らずで行ける頂上も、3基の無線塔が三角点を囲むように建ち、山頂としての威容は全く見られなくなった。
 昭和45年、小浜山の会によって開拓された、小浜市泊地区から蘇洞門の中心である大門小門へのコースは、エンゼルラインの開通により足が遠のいていたが、最近会員の手により再度整備された。(一般ルートではない。)
 ここでは、本来の登山形態とは変則的になるが、久須夜ヶ岳へは車で登り、そこから大門小門を往復するコースを紹介したい。また、足で頂上をきわめたい方のために、エンゼルラインを歩いて登るコースも参考に載せておく。さらに、泊地区から泊乗越までのルートも参考情報として掲載する。                   (2017.06.28一部修正)


コース紹介

①久須夜ヶ岳山頂から蘇洞門へ   ■対象:中級コース   (最終調査:2017.6.27)

 (注)このコースは、2016年の豪雨による崖崩れ(蘇洞門直前)のため、入口で通行止めの表示がなされている。(2017.6.27確認)
 久須夜ヶ岳への道路エンゼルラインは、小浜から約40分で頂上の展望台へ導いてくれる。(現在エンゼルラインは、無料になっているが、夜間及び冬季(12月~3月)は通行止めなので、注意が必要。)ここからは、波静かな小浜湾に浮かぶカキや真珠イカダ、小浜市街そして多田ヶ岳、百里ヶ岳や若江、若丹稜線の山々等が見え、さらには若狭湾を挟んで青葉山そして遠く越前海岸にかけての大パノラマが楽しめる。
 619mの山頂には、若狭地方には三山しかない一等三角点があり、山頂の駐車場から歩いても10分足らずなので、往復してこよう。山頂の三角点を踏んだら、車を一段下の駐車場に置いて、自動車道をカーブミラーのある所まで下る。ガードレールの切れた所から雑木林に入る。ここには、蘇洞門入口の標識があり、尾根伝いに蘇洞門を目指して下って行く。
 頂上より西へ張り出す稜線の道は、早春や晩秋の頃には、木々の間から、若狭湾や丹後半島が眺められ、ユキツバキの原生林もあって楽しい所である。
 稜線上を約30分下ると、泊乗越で、はっきり分かる地形である。ここにも標識が設置されており、ここから右へ下って行く。主尾根の北斜面に付けられた道は、ジグザグを繰り返しながら下って行く。やがて道はトラバースするように斜面を進む。道が一部崩れやすくなっている所もあるので、注意が必要である.泊乗越から20分位行くと、一旦道は支尾根を下る。この下りは急なので、ロープをつかんで、慎重に下る。
 すぐにまた、道はトラバースしながら右方向に進むようになる。約10分ほどで、再び道は樹林帯の支尾根に入る。支尾根に入った所は急であるが、すぐになだらかな気持ちの良い尾根となる。この辺りは休憩にも良いし、道の状態が良く、ルンルン気分で歩くことができる。
 やがて眼下に海が見えてくると、道は急な下りとなる。目の前がパッと開け、海が見え、波の音が聞こえてくると、つい歓声が上がってしまう。荒れたコンクリートの階段を忠実に、足下に注意しながら下って行くと、名勝「大門小門」の前に出る。観光船の桟橋もあり、シーズン中は多くの観光客が訪れている。
 波が静かなら、小門をくぐって海岸に出てみよう。断崖には、白糸の滝が懸かり、目の前の大島半島には原子力発電所の白いドームが見える。青葉山の特徴のある双耳峰がきれいである。なお、小門をくぐる場合は、登山靴を脱いで、サンダル等が必要になるので、注意されたい。また、満潮時は危険なので、安全を確認の上、進まれたい。
 帰りは、高度差600mを0mから登り直すので、楽しんだ後の最初からの階段はつらいが、ゆっくり、ゆっくり登り始めよう。海の世界から離れ、再び山道を歩いて行く。一日にして海と山を独り占めにした“ぜいたく”な満足感に浸る頃、駐車場に着く。

■コースタイム
 駐車場→30分(40分)→泊乗越→80分(90分)→大門小門
  (  )内は逆コースのコースタイム

 

【2017.6.27の最新情報】

○蘇洞門に下る階段の上に土砂と草木がかぶってきています。行かれる場合は、足下に気を付けて下って下さい。途中のルートに特に問題になる箇所はありません。

 

②エンゼルライン経由で久須夜ヶ岳へ  ■対象:初級コース
 エンゼルライン入口のゲートまでは車で行くしかない。ゲート脇の空き地に車を置き、出発しよう。自動車道を歩くのはいくらかこそばゆい気もするが、静かなたたずまいの小浜の街並みや、美しい海や山の眺めがこれを補ってくれる。
 素晴らしい小浜湾の風景の変化を楽しみながら90分程登ると、大神岩に着く。この辺りの眺望は特に良く、車も停められるように道幅も広くしてある。一息ついて目の保養をしよう。
 大神岩を後にして2㎞程進むと、大きなカーブがあり、間を置いて二つのミラーが立っている。蘇洞門への下り口地点で、このミラーの中程の道壁を上がると道がある。ここまで来れば展望台(駐車場)はすぐそこである。展望台は出発地から7.1㎞、約2時間の道のりである。
 三角点のある山頂は展望台から400m、残念ながら3基の無線塔に占有され、一等三角点も寂しそうである。山頂は、視界も良くないので、展望台に戻り、ゆっくり若狭に広がる大パノラマを楽しんで下山しよう。

■コースタイム
 料金所→60分(50分)→第二駐車場→25分(25分)→大神岩→35分(25分)→第一駐車場→10分(5分)→三角点(頂上)
  (  )内は逆コースのコースタイム

 

③泊集落から泊乗越へ   (参考情報)     (最終調査:2017.6.27)

 小浜湾の東岸を、先端の泊集落を目指して車を走らせる。泊集落入口で道が二手に分かれるが、山側の道をわずかに進むと、橋があり、その手前に空地がある。車は4台ほど駐車できるので、そこに車を止める。

 その先の右手に、登山口の標識があるので、そこから歩き出す。笹の切り開かれた道がしばらく続き、その後に、石のゴロゴロした掘れた道が出てくる。深く抉られた古い道であるが、落ち葉や枯れ枝が堆積し、歩き難い。道ははっきりしており、赤テープもしっかりと付けられているので、迷うことはない。50分程登ると、突然、コンクリート製の壁が現れる。排水溝のような部分もあり、何に使われた石垣なのか良くわからない。その先の右手には、反射板が設置されている。

 同じような道をさらに登っていくと、ピークに着く。331mのピークのようであるが、細長いピークで、何処が331mかわからない。その先で、深く抉られた道は終わり、踏み跡を拾いながら、尾根を辿って行く。泊乗越の尾根が見えてくると、少し藪っぽくなるが、赤テープを拾って登って行くと、稜線の道に出る。この道は、久須夜ヶ岳から蘇洞門に下る道で、この道を左に下って行くと、5分程で泊乗越に着く。

■コースタイム

 泊集落→50分(40分)→反射板→30分(20分)→P331→40分(30分)→稜線→5分(5分)→泊乗越

 

   (  )内は、逆コースのコースタイム

 

地図