若狭の山の概説

若狭と称されるのは、福井県西部に位置し、北は若狭湾、南は京都府・滋賀県との府県境に囲まれた地域で、東は鉢伏山、西は青葉山で区切られる。この若狭には、府県境を中心に一応名の通っている山が10程度あり、さらに、これらの府県境を横切って、昔京都府や滋賀県への交通路として利用された峠がかなりある。
 若狭の山は最高蜂の大御影山でも標高950m程で、ほとんどが900m足らずの山々である。このためアルプス的な雄大さはないが、日本海を眺められる静かで良い山がいくつもある。また、山中に美しいブナ林が残っている所や、昔の峠道がそのままの状態で残っている所もある。さらに、山々はそれぞれの特徴を有しており、例えば青葉山は岩峰が鋭い山であり、三十三間山は頂上直下がなだらかな一面のススキヶ原という具合に、バラエティーにも富んでいる。
 一般的な登山の対象として考えられる山として、東から鉢伏山、西方ヶ岳・蠑螺ヶ岳、野坂岳、岩籠山、三十三間山、駒ヶ岳、多田ヶ岳、百里ヶ岳、八ヶ峰、頭巾山、青葉山などがあり、若狭側から比較的良く登られている。
 登山道は、著名な山には一応付けられているものの、コースや季節によっては、途中ヤブ等が繁茂して道が分かり難くなることもある。一部の山を除き、登山に当たっては地図・磁石は必携である。また、登山口がわかりにくいコースもあるので、付近の人に聞くなりして、慎重に行動した方が良い。なお、駒ヶ岳以西の山については、小浜山の会で、かなりの登山標識を整備したので、登山口等も比較的わかりやすくなっている。
 登山の季節としては、やはり新緑の春か、紅葉の秋が良い。夏はどうしてもヤブが密生することになり、標高もあまり高くないのでさほど涼しくもない。冬期は積雪があり、一般の登山対象ではないが、冬山の経験ある人にとっては登山の対象となりうる。ただし、若狭地方は、敦賀以北の嶺北地方に比べ概して雪が少なく、快適な雪山を楽しむことはあまり期待できない。
 この山域に入るにはマイカーを利用するのが一般的であるが、公共の交通機関としては、JR小浜線及び各駅から出るバスを利用することになる。しかし、バスの便数が少なかったり、途中までしか入らなかったりで不便な所が多く、また、登山コースも限定される。公共の交通機関を利用する場合には、事前に十分調べておく必要がある。
 山小屋は若狭の山にはないといってよい。ただ西方ヶ岳、野坂岳だけは例外で、立派な山小屋ができているが、もちろん無人小屋である。なお、山麓にはキャンプ場がいくつかあるので、それらを利用すればキャンプと登山両方を楽しむことができる。

 

 また、滋賀県、京都府との県境稜線を探索する楽しみもある。西の高浜町の正面崎から敦賀市の山中峠までの県境は、最近、笹が枯れたこともあり、一部の区間の藪を除き、比較的歩きやすい。ただし、尾根が複雑だったりするので、十分な準備をした上で入山してほしい。